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Writer's pictureゼンマイマン

21話 金剛太夫と苦裂

Updated: Dec 9, 2021


「ここが戦った場所ね。」


上空に浮かぶ二つの影

蛮死Kと暗死Jは蛮死が戦った場所へと来ていた。




「そうだ。」




「信じられないエネルギー残滓

数日たっているはずなのにまだビリビリするくらい漂ってる。

これが事実ならファベイト様以上よ・・・・」



二人は飛行しながら戦った場所を入念に観察していた。




「信じられるか。俺たちはファベイト様が生み出した存在。

ファベイト様にさえ敵うと思ったことはない。」


蛮死は信じられないといった感じで苦虫をかみつぶした。


暗死は片方の口角を吊り上げ、蛮死の肩にドンと手を置いた


「なにか秘密が必ずあるはずよ。

もしそれを知ることができれば私たちは更に力を手に入れる事ができるわ」





「だといいがな。」

蛮死自身も楽観的な考えにすがるしかなかった。



「K!あちらに何か痕跡が!行ってみましょう。」




「うむ」



そう言って暗死蛮死の二人は西の彼方に見えるわずかな残滓を追っていった。




木の陰から二人を見つめる影

それは苦裂のメンバー弾死Mだった。




「あいつらの行動が怪しいと思っていたが、ついてきて正解だったな。

なんだ??このエネルギーの残滓は・・・こんな力、古のアニサキス神か金剛太夫しか考えられないぜ。」



そんな弾死の足元で蠢く線虫がこうささやいた



あれらはファベイトの手のものか・・・
ふむふむ臭いでわかるわ。
おい貴様アルファベイトは息災か?


そう言って蠢く線虫は身体を鞭のようにしならせ弾死の肩に瞬時に飛び移った。



「誰だ!!!この俺に話しかけてくるのわ!

そしてファベイト様を呼び捨てするとはどこの不届きものだ!!!

出てこないのなら炙りだしてやるぞ」


弾死Mはあっという間にあたりに悪玉力を張り巡らせ、禍々しい力で声の主を炙りだしていった。


エネルギーを体の中心にドーム型に張り巡らせドンドン狭めて見えない相手などを特定していく。

ドームの外側の層に触れるとエネルギーが反応する。

力の量によっては相手を見つけ殺すこともできる。


範囲をどんどん狭めていくが反応がない。

ついには弾死Mの足元まで狭めても反応がない。



「まさか・・・いないはずは・・・まさか俺に・・・ すぐさま自分自身に悪玉力をあてつけた。」



一気に障害物に反応して弾死Mの右肩から弾ける禍々しい力


バチバチバチバチ!!!!!!



「なななんだこの感覚は!!!全く堪えてないどころか肥大しているような気がする」 弾死は得体のしれない何かに冷や汗をダラっと垂らした。


「たらんたらんもっとだもっと浴びせろ。」


得体のしれないものは何と自分の肩に乗っている衝撃に憤怒した。



「バカにしやがって私を甘く見ているな。 俺は苦裂弾死Mぞ!!!」


弾死は何とも恐ろしい力でその異物に攻撃した。

ここまでの気力をその一点に集中させ攻撃することができるのは一流の証。

一歩間違えれば当たらないどころか自傷する恐れだってある。

その猶予も相手に与えずこの攻撃を判断し実行できる弾死の実力は折り紙付きだ。

しかしその自慢の攻撃は無残にも消えていった。


シュワシュワシュワワワワ・・・


「ぐふふふふご馳走さん。 まぁとりあえず動き回れるだけの力は頂いた。」

肩にいるその得体の知らない線虫はそうつぶやいた。




その瞬間生みの親ファベイトからも感じたことがない悪玉力が線虫に纏い弾死を襲った。





「あああああおおおお前は・・・いや貴方様は一体・・・・ まさか主様でございますか??復活されたのですか??」




弾死Mは立つのもやっとなこの禍々しい力になんとか気力を振り絞り話しかけた。





「わしが主様な訳がなかろうこの無礼者が!!!!!お前まだ主様にも会えてもいないのか・・・ 主様に代わってお前を殺してやりたいところだが、わしもちょっと用事があってなお前の体を少し貸してもらうぞ」





「はは!!何なりと俺はあなた様に忠誠を誓います。」






我が名はアニサキス 





「・・・・・・伝説のアニサキス神・・・・やはり生きていらっしゃったんですね・・・」





「この残滓を作りだした奴の後を追え。」





「こ・・この残滓はアニサキス様のものではないのですか?」


弾死は驚いた・・・アニサキス以外にこのような仕業をできるものがおるなどと


線虫のアニサキスは弾死Mの身体にもぐりこんだかと思ったら、弾死の皮膚全身線虫が数百万匹張ったような浮き上がりうずくまった。



少し動かなくなった弾死はしばらくすると立ち上がり手足を軽く動かし調子を確認した。

「ふぅまぁ悪くない着心地よ」

それは弾死がアニサキスに寄生された姿だった。

見た目はほぼ弾死、違うのは皮膚がみみずばれのように浮き立っているところ。



アニサキスは瞬く間に西の彼方へ飛んで行った。




一方そのころ




「おい吽暁、コイルは修行を初めて数日にもなるがまだわいの助言を求めてこんのか?」


コイルに1人で修行させ、息詰まったら助け求めてきたところをどや顔で修行をつけてやろうと目論んでいた阿暁は、一向に助けを求めてこないコイルにしびれを切らし始めていた。




「こない。没頭しすぎ。 既に氣の吸収と還元のコツをつかみ始めている証拠だ。 阿暁は出番ない」

吽暁は横目で阿暁を見ながらそのくだらない計画を諭した。


「むむむあいつ生意気やな。まぁどれだけものにできるか見ものやな。」 「阿暁!」

吽暁が鋭く叫んだ





「吽暁わかってる。

どらどら!ちーっとわいらも暇つぶししに行くかの。」



吽暁が阿暁に怒ったように見えたがそうではなかった。

東の彼方より禍々しい力が近づいてきていた。




「コイルが今巻き込まれると厄介。

なるべく離れる。」


金剛太夫は刻々と近づいてくる禍々しい気に近づきながら、方向を巧みに変えコイルから遠ざかった。

まっすぐ移動すればそれはこの場所が何か大事な場所だと感づかれる可能性がありコイルが見つかれば殺される。



自分たちがその追ってからなんとか自分たちを隠蔽しながら逃げている印象を与える為巧みに方向を変え移動した。





全速力で追う蛮死と暗死

「蛮死!そいつら必死で誤魔化しながら逃げてるじゃない。本当にお強いの?しかも逃げるのが下手ね。」


「まさかこんな直ぐに同等の力の仲間が来て追ってくるとは思わなかったんだろうな」


「見えてきたわ!逃げられると思ってんの!あはは!」

二人の先にはまだ点にしか見えない金剛太夫を捕らえた。




「ここいらでええかのう」

金剛太夫は止まり踵を返した。





追いついた蛮死は叫んだ

「いつまで逃げるんだ!いにしえの!」




阿暁はしかめた顔をして

「あいつ仲間連れてきたら急に態度でかなりおってからに

嫌いやわ~嫌いなタイプやわー」



吽暁は瞬時にサーチした。

「仲間も同じくらいの手練れ。」




明らかに目のまえに立っている人物が伝承の通りの格好で暗死はあっけにとられた。


「本物の金剛太夫?・・・夢でも見てるの…

あんたたちコスプレ変態野郎じゃないでしょうね。

伝承そのものの格好だわ。」




部族の格好をバカにされた阿暁は顔を真っ赤にして怒った。

「誰がコスプレ変態野郎や」




蛮死は暗死の前に少し手を上げて制しながら言った。

「暗死なめてかかるなよ。こいつらは本物だ

最初から全力で連携攻撃しないと勝てないぞ。」




「私はねどんな相手にもいつも華麗にそして全力で倒すのよ。

獅子がうさぎに・・・いやカバでもね」

暗死は阿暁をにらみつけた。



「よくおわかりで・・・。」

阿暁は最近のやつは言ってもないのに種族まで理解してて凄いなと納得している。



「そっちのカバではないと思うぞ。」




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