「ボキが真横にだけ斬ったと思ったの?」
「な・・・に・・・」
アニサキスの身体はまるで蜘蛛の巣が張ったかのように放射線に斬れ,光る筋が走った。
あっという間に細切れになり地面へボトボトと崩れ落ちた。
「ぶはぁぁぁぁぁぁぁぁ危なかった・・・・調子に乗ってフルパワーでやりすぎた!!!」
自制した長き修行でフルパワーを試したかったコイルは後先考えずに戦ってしまった。
「環境からエネルギーをうまく取り入れる事は出来ても管理がまだまだやな。」
後方に現れた金剛太夫をへとへとの身体を踏ん張りながらコイルは見上げた
「阿暁様!吽暁様!」
「しかしそれがゆえにあの剛鬼アニサキスを倒すことができたのかもしれない。」
「いつだってヒーローは悪者に手加減をするからな!」
「阿暁様・・・それどういう意味だよ!」
「わいはヒーローでお前はヒーローやないってこっちゃ!」
「コイル、阿暁は悔しいのだ。今日は許せ」
「とはいえあいつはあれぐらい全力で倒さないと腹の虫が収まらんからええ感じや!わいが止めをさしたかったがな」
「私たちの出る幕がなかったというだけでも凄い事だ。あのアニサキスに」
「穴あきのガキんちょが、とんでもなく強くなったもんやで」
「へっ!まだまだ強くなるぜ!」
「やかましわ!」
「これで悪玉鬼の一番ヤバいやつ倒せたってことでいいのかな?」
「あほ言え!アニサキスよりも上の親玉がおるわ!」
「げげげげげ!あれよりも強いのがいるんだ・・・まぁ全力で圧倒的に倒したからペース配分無視したけど、管理すればアニサキス数体でも相手にできたかもね!」
「生意気な!まぁその親玉は千年前の大戦でほぼほぼ動けないようやからまぁ楽勝やな」
「じゃ、一気にカタを付けますか!!」
「そうするかいな。わいもこの大戦には関わりたくなかったがゆっくり寝かしてもらえなさそうやからな。それに蠱惑が完全復活したらやっかいやしやな」
「蠱惑・・というのが悪玉鬼の親玉なんだね。」
「あやつは強大な力を持っておった。相手が蠱惑を恐れれば恐れるほど力肥大させていく化けもんや。真王に倒され、月日がたち蠱惑を恐れる心が無くなり復活できないんやないかと睨んどる。」
「恐れる心を糧に・・・恐ろしいやつだな。」
「恐れるなコイルよ。その心もまたやつの血肉となる」
「はい阿暁様」
「とりあえず一旦引き返して回復させよう。ここの気をこれ以上吸っては生命体達がかわいそうやからな。」
「はい。では一旦」
そういった瞬間だった。
黒い禍々しい気を放った物体が身体にぶつかりその衝撃で口から吐血してコイルは地面にたたきつけられた。
「ぐはぁぁぁぁやばぃ・・・真王の鎧が無かったら・・死んでたぜ・・・ボキ」
なんとか立ち上がったコイルの先に立っていた黒い禍々しい物体がゆっくり振り返って皆は絶句した。
「じっちゃん!!」
「ガラク!!」
全身黒い氣に包まれたガラクは目を充血させ口から黒い気が漏れ出し怪しく笑っていた。
「じいちゃんボキだよ!コイルだよ!!!しっかりしてくれよ!」
完全に前のガラクでないそのガラクは悪玉氣とは違う黒気を纏いその影響か雰囲気が少し変わっていた。
ガラクはコイルに襲い掛かった。
何度も何度も切りつけた。
「コイル退け!わいらが相手や!!黒ガラク!!!」
「金剛太夫様すみません!」
コイルとガラクの間に金剛太夫が割って入り、ガラクを阿暁で撃ちつけていく
「なんちゅう固さや!アニサキスの比やないな!どうやらガラクの意識さえもない感じがするわ、もともと持っていたガラクの力を蛮死の悪玉力で悪い方向へ導いてた。
その入口をアニサキスが見つけ、悪用したんやな。しかし善玉力でも抑えられてたから、悪玉と善玉は相殺され、本来のこの謎の黒いガラクの力だけが顔を出して制御できず暴れてるって感じかな?」
「ガラクの意識さえ戻ればもしかするかもしれませんね」
「せやな・・・おっとあぶな!!こいつまじもんで強いがな!!!!」
黒いガラクは上空に吠えた。
その瞬間身体から黒い氣が爆発し金剛太夫と退き始めたコイルをも巻き込み爆ぜた。
「うぎゃぁぁぁぁぁうぐgygygygyが!!!!!!!!!!」
狂った肉食獣のような理性のかけらもないガラクが絶叫している
そして地面に落ちたアニサキスの肉片を身体から発する黒い氣で包み込み吸収した。
回りの大地は全て黒い気で焼き払われ荒れ地と化していた。
植物も生き物さえも全て焼き殺され姿を消している。
金剛太夫やコイルさえもみえない
焼け焦げた大地にあるのは、焼け焦げた煙と身体が破壊されたような肉の塊だけである
黒いガラクはもう一吠えし、上空に飛び立ち遥か彼方へ飛び去って行った・・・・
その光景を見ていた蛮死Kが衝撃でズタボロになった体を支え燃えカスの中からはい出てきた。
「なにがどうなってやがんだよ・・・・次から次へと・・・・・・まずは報告だな・・・」
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