もうどれくらいコイルは座禅を組み、この岩山の草木と対峙しただろう。
最初は全く吸わせてくれなかった草木も、力で吸収するのではなく、その草木の氣の組織や氣の流れの組み方、法則に添って吸っていくと効率よく吸えることがわかってきた。
最初は力業で氣を奪おうとしていたが、今では相手の事を理解し、最短で力を借りれる方法を模索できるようになっていた。
そう奪うのではなく借りるだ
それでもまだまだ実践するにあたっては吸収して応用するには速度不足は否めないのは確かだ。
最初受け取った氣に身体が振り回されそうになったが、何度か元の草木に何度も還元することによって、その構造を理解できた。
スムーズに的確にできるよう何千回何万回もおこなった。
もうどれくらいたっただろう。
自分の感覚では数日はこの修行に夢中になっている
もうずっと飲まず食わずだ。
でも不思議と喉も乾かないしおなかも減らない。
この草木のエネルギーの循環の一部に自分がなっていることで、必要としないのだろうか？
更に月日がたった
かなりゆっくりではあるが、深く呼吸するくらいの速度で岩山の草木から氣を吸収することができるようになった。
初めての登山頂上で深く呼吸した時の空気の美味さのような感覚がずっと続いている。
そして改めて思ったのが本来自分はこの状態にすることこそが自然体だったのではないかと実感するようになった。
スムーズに氣を取り出せれるようになったので、その氣を自分の力と融合してみた。
・・・・全然混ざらず水と油のような感覚だ。
お互いの力を激しくぶつけあったり、拡散させたり、いろんな方向に回したりもした。
混ざってくれない。
一体どうしたもんか・・・・
おい！おい！おーーーい！！
突然自分の頭の中に声が語り掛けてきた。
は！っと目を覚ますと目の前に金剛太夫がいた。
阿暁
お前・・・凄いなずっとまじめに修行してるやん
コイル
すみません！コツをつかんだら楽しいというか身体がこんなにも気持ちいというか楽というかそんな感覚に襲われて、欲望のままに修行してました。
阿暁
天性の負担がそもそも枷となってるのに今までそれが通常やったわけやからな。
氣を取り込むようになって、本来無理していた部分がだいぶ緩和されてきたからやろうな。
にしても2年間黙々とわしら抜きで修行してくれたな。
コイル
にににに二年も！！！
阿暁
そうや。確かに修行の場所や方法は教えたけど、途中で音を上げて助言を乞うてくるかと思たらなぁ！吽暁
吽暁
2年間全く無視だったからな。
阿暁
わいらずっとすべってるような感覚でこの2年間過ごしたわ。
そろそろ修行の成果を確認したくてな、中断させて声掛けさせてもらったわ。
どうや成果は？
コイル
氣を吸収することはうまくできるようになってきたんだけど、自分の力と融合するときにどんなことをしても全く融合することができないんです。
阿暁
お前まだそこしかいってないの？
くは～～だから助言を求めてくれたらもっと早かったのに～～～
なぁ～～～吽暁～～～？
吽暁
阿暁根に持ってるな。
阿暁
そんな段階いくまでに2年も使い寄ってからに～なんでわいに聞かへんかってん
はぁ～なさけないわ～
なぁ～～～吽暁～～～？
吽暁
相当根に持ってるな。
これはあと数時間は続くぞ。
阿暁
あほ言えそんな続くか！まぁ兎に角今までの弟子の中でここまで助言も無しに修行に夢中になったやつは見たことがないし、ちゃんと少しではあるが進んでる事は評価に値する。
でも聞いてくれたらそれ2カ月で終わってたんちゃうん～～
なぁ～～～吽暁～～～？
吽暁
な。まだ嫌味続く。
コイル
阿暁様本当にすみませんって！！！ボキはバカだから夢中になって悪かったよ！
阿暁はしかめて両目をつぶっていたが片眼を見開きコイルを見つめて言った
阿暁
悪かったと思てるんやったら許したろうかな？
コイル
思ってます！！思ってます！！
阿暁
その無駄にした2年間の修行の成果をわいにみせてみんかい！
コイル
はい！！
そう言ってコイルは近くの草木、2年前までは５～６ｃｍの草木だったが今では３０ｃｍほどの植物に育っていたその草木から氣を吸収した。
阿暁
あのな・・・全部吸収するんや。そんなちょっと吸ったところではあかん
こんな程度では今腹の中におるあいつに相手させたらすぐ殺されるな。
コイル
腹の中？？
いやこれ以上吸えないよ・・・・
阿暁
はぁお前の2年はなんやったんや。
ほらみてみい！この草木吸われたら普通しおれるもんや、全くしおれてない。
ここの隅っことかまだまだ氣がたっぷり含まれと・・・含まれ・・・ふく
全部綺麗に吸われてるやないか！！！！
吽暁は目のサーチ機能で草木を解析した。
ピロピロピロピロ
吽暁の生命装置が反応した。
吽暁
何だこれは、ここまで綺麗に吸われて何故この草木は元気なままの形を維持できている。
阿暁
信頼や・・・・ここまで動植物がわいら種族を信用して氣を分けてくれてるのなんて見たことがない。
この信頼はどこから来るんや・・・
コイル
最初は無理やり吸ってたんだけど、なんかこいつらが無理しているような気がして、こいつらが無理しないようにどうやったらスムーズに氣を借りれるんだろうと模索した結果、気の流れの構造に気づいたんだ！
その構造を崩さないように、氣を吸った方がスムーズに吸収できることに気づいて
阿暁
植物の設計図をその短時間で理解したんか・・・
コイル
結局は同じ動植物だからね最初は理解するのに苦労したけど、結局みんな通ずるものがあるし
阿暁
なるほど蟹を食べる時足を折って上手に肉を取り出すけど、ヘタな奴は蟹スプーンで穿り出して食べてる感じか・・・いや違うか？！
こいつがやって見せたのは折ってる形跡も見せずに身を抜き取ってるから、カニが生きてるみたいな状態やねん。
吽暁
これ2年で体得できることか？
阿暁
凄いし気づきもしない、その構造に寄り添ってその生き物の事を第一に氣を吸収してやろうなんざ。
いやいやもはやこんな芸当こいつにしかできんのかもしれんな。
わいはできんなりにその応用で更に効率を上げる方法を模索してやな・・・なるほどなるほど・・・まてまてー！わいが勉強になっとるやないか。
吽暁
私に還元する力が増えるのはいい事だ。
コイル
でもこの氣うまく融合できないんだ
阿暁
そらそうや！ふつうはみんな苦労して吸収してかみ砕いた状態に氣を熟して自分の力を合わせるんや。
氣の融合とは口だけで、氣という調味料を素材（本来の力）に混ぜ合わせるってイメージや。
わかるか？
でもお前が取り出した氣は綺麗に形をとりだして、その形を維持しようという力がより強くなっとるわけや。
綺麗に取り出しても結局はかみ砕く作業がいるならこれ二度手間やな
取り出す時に従来通りある程度やっぱかみ砕いた方がこれ効率よくないか？
コイル！！！その奇術無駄骨やったな！！ガハハハ！
２年無駄やったなぁぁぁぁ！！！すぐ聞いてくれたらな！！！
コイル
じゃあ！この氣と善玉力を限りなく分解して氣を纏わせ再構築するというのはどうなんだろうか
阿暁
ぶははははははは！そんなことできるわけがないやろ！！！眠たいこと言うなよ！！
わしらも神とは言われてはおるけど、そんなもん大神様でもできる方はおらんかったわ！
奇跡やそんなことできたら。
例えばわいらは剣に対して更に剣を接着剤で取り付けて又は盾を取り付けて己の力を高めていくんや。
ただし後から取り入れくっつけた部分は外れやすい脆い。
武器としてもある程度の力を入れると壊れるし防御で防ぐにも付け焼刃では同じこと
だからこそ本来の善玉力を高めていくか、純度と量を増やし同時に耐えうる体を修行で培っていくわけや
そう長々阿暁が語りだした後コイルの手から凄まじく神々しい氣の力が輝きだした。
コイル
で・・・できた・・・・
阿暁
きききき奇跡や・・・・
とととんでもない坊主やで・・・・
完全に融合しとる・・・ある意味氣の応用の弱点でもある氣の接合部分が見当たらん・・・
吽暁
氣をここまで綺麗に取り出せれば分解と再構築も必然的に綺麗にできるいう事
これはもう氣と力が親和している。
今後の課題としてデータ分析に回す。
コイル
ただまだこの草木くらいの氣しかスムーズに取り出して再構築することができないや・・・
阿暁
とりあえずは十分や・・・これで今までの倍の時間いや数倍の持久力を手に入れたわけや。
吽暁
１００％１０ｍｌの善玉力が太古の氣で薄まり普通は氣で同量取り出して↓５０％↑２０ｍｌになるはずが、同量分の力で実際は2～3倍の氣量な上に善玉度は落ちずらい、
↓７５％↑５０ｍｌになってるようなもんだ。
阿暁
これは反則や！！今までの法則を無視しとる！！汚いぞ！！！
コイル
全然汚くないぞ
喧嘩する時相手が尋常じゃないスピードと技と力を持っていたら汚いのか？
吸収と融合は戦う者にとって必要な技術なんや。
コイルは以前阿暁に言われた言葉を言い返した。
阿暁
うぐぐぐ一本取られたで
でもまだまだワイの方が強いもんね！！！！！へへーーん！！！
吽暁
阿暁みっともないぞ。
阿暁
まぁ冗談はさておきや、とりあえず今わいの腹の中におるやつと戦ってみんか？
お前が修行してる間に捕まえてん。
コイル
え！いつの間に！！わかりました！
阿暁は早速大口を開けてコイルを丸呑みした。
ほどなくして阿暁の口から吐き出されるコイル
コイル
ぐはぁぁぁぁぁなんなんだあのとてつもなく強いおばさんは！！！
痛てぇ・・・吸う力と再構築する力が全然間に合わない。
阿暁
まだあかんか・・・
まぁでも画期的なシステムをお前は考案したわけやからなそれが実践仕様になった時の凄さは恐らく歴史上誰もやってのけたことがない構築の仕方やと思うぞ
名前もつけたらどうや！
コイルシステムってのはどうや？
コイル
なんかインテリっぽくてやだなー
吽暁
螺旋氣構はどうだ？螺旋のように混ざり合う親和性
コイルの名前にもあう。
阿暁
・・・却下や！
コイル
かっこいい！！それが良いよ！それにする！！螺旋氣構！！
阿暁
むむむ！
コイル
良し！！螺旋氣構をもっと磨くぞ！！
阿暁
じゃより強い相手にも使えるようにその力をベースに本丸であるこのめちゃめちゃ吸いにくい岩山の奥底の氣を吸収してみろ。
それができたらまたわいのお口の中や！！！
コイル
うぐぐまたあのおばちゃんと戦うのかよ
あいつ鬼女かなんかじゃないの！
阿暁
仲間に見捨てられた哀れな女よ。そういうな。
さ！岩山吸うてみい
コイルは深く深呼吸して吸収を試みた
コイル
・・・・全く吸収する通り道がない。
阿暁
ふふふふふふ
コイル
あ！阿暁様わざと吸えない場所選んで試したんじゃ！
阿暁
あほ言え！そんな狡いことするか！！
観とけ！
そういうと阿暁は、深く呼吸したかと思ったら、岩山全体が震えだした。
全く無機質に見えたこの岩山も太古の氣が滲みだし阿暁の躰にドンドン吸い寄せられた。
阿暁
じゃちょっとわいの善玉力注ぎますかいな。
その瞬間阿暁は七色に包まれ、今まで見たことがないほどの力に包まれていた。
コイル
なんて強大な力なんだ。
この力は神様のレベルなんて超えている・・・大神様・・・
吽暁
コイルこれが天玉神の力だ。
阿暁はその中でも特別。
コイル
アニサキスって・・・
吽暁
私達の最大の宿敵だ。
今はもっと力を取り戻してる。
コイル
ボキ・・・必ず強くなるよ。
滅茶苦茶修行に励むよ
そして金剛太夫様達に頼らなくてもこの時代を守れるくらいの存在になる！
吽暁
楽しみにしている。
阿暁は深く考え込んでいた・・・コイルシステムの方がええのになと
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