阿暁様ここで一体何をするんですか?
この岩山・・・わしが子供頃は蝋獄山と言われてたんやが、今は霊超山と呼ばれ、崇拝してる天玉人もおるらしい。
この岩山の地盤は滅茶苦茶密度が高く、ダイヤモンドのように固く、なおかつ多孔質ではないからエネルギーを非常に通しにくい。
でもこの山をみんなが敬うのはこの奥底に宿る太古の氣の存在なんや。
数百年に一回この山は太古の氣に包まれる。
包まれると数年はその氣がこの岩山を包み込み、多くの人が治療などに利用しようと集まるんや。
「おおお!ということはこの岩山はその数百年に一度の太古の氣に包まれている時!
僕が善玉力を薄めやすくできるという・・・うってつけの場所なんだ!」
その逆や。今全くエネルギーが漏れ出ておらずカラッカラの最骨頂やねん。
コイルは華麗にずっこけた。
イタタ・・・じゃなんでここにしたんだよ・・・
いやラッキーやったで、確かに太古の氣に包まれてたらお前はその氣を利用して実力以上の力を発揮できたやろうしお前の純度とこの太古の氣が合わされば、恐らくとんでもない強さになると思うわ
でもなそんな何百年に一度の事に頼ってたら死んでしまうし、この場所でしか戦えなくなるんや。
それ強いといえるか?
いえ・・・言えないね。
放出していない時は密度の高い岩の地盤から一切漏れ出ない太古の氣を吸収するのが今回の目的。
つまり修行や
えええ!この密度からいきなり取り込む練習するの??
もっと簡単な地盤からにしませんか?
ここから数十里離れたリーファ大森林とか植物わっさわさで吸いやすそうだなー
お前の善玉力を瞬時に薄め融合するためには大量の氣を取り込む能力が必要や。
自然の氣を取り込む善活量・・・いわば肺活量みたいなんを上げる修行や。
コイルまず、この岩山の隙間にわずかに生えたこの草木から氣を吸収してみろ
そう言って阿暁は岩山の間から弱弱しく生えている今にも枯れそうな草を指さした。
忘れるな!相手に敬意を払いつつ自分の力を侵入させ触れ合わせ吸収していくんや
はい・・・
うううううぐぐぐぐ・・・・ぷはぁぁぁぁ
10分が経過した・・・
全然吸えない・・・ボキ才能ないかも!
ではこのさっきお前たちが暴れたところで採取したこの草木から氣を吸収してみろ
阿暁は口から尻尾で草木を取り出し、一瞬コイルが顔をしかめたが気にせず、コイルの目の前に持ってきた。
さっきの草木よりも更に頑丈そうで生命力のある草木だ
え!さっきの弱弱しいのも吸えなかったのにこんな強そうなの無理だよ。
はぁ・・・
わかったよやるよ!
さっきと同じように意識を侵食させるとみるみる力が吸収できた。
ぶわぁぁぁぁっぁ
吸えた直ぐ吸えた!!
コイルは咽た。
「ゴッホンゴンホン・・・」
全然違うやろ?
全然違うなんで?
そもそも今吸った植物が生えている地域は、比較的氣を放出してる地帯で吸いやすく、その氣を取り込んでいる植物は吸収もされやすいんや。
むしろそういった力にあらがわず、また別の氣を取り込めばええだけやから。
しかしやこの岩山のエネルギーはほぼ出ない。
この草木も数百年の時に大放出された氣の力を取り込み育ち、また氣が止んだ際に少しづつ少しづつ氣を消費するように体が作られている。
だから少しの氣の吸収も命取りになるわけやから、意地でも吸わせない構造に進化してる
そら吸いにくいわな。
管と一緒で太ければ多く吸えるし沢山輩出もできる。
管が細ければ吸収も遅いがゆっくり輩出できるわけやな。
よくできてるわ。
コイルはうなずいた
でもどんなところでも氣を吸える能力が備わったらどうや凄ないか?
もうそれは最高だね
その訓練をする場所にこの場所はうってつけなんや。
ここで一定量の氣を吸収することが今回の修行の目的や。
わかりました!
それとや!うまく吸収できてもそれをうまく本来の力と混ぜ合わせる事ができるかっていうのもなかなか大変やで。
管(くだ)でお酒飲んだら細ければ細いほど酒の周りが早いって聞いた事ないか?
酒は飲まないからわからないけど、要は氣の吸収が難しいほど躰には負担があるという事だね。
平たく言うたらそういうこっちゃ。
まぁあとはどれだけそれに慣れるかやな。
はい!
とりあえずこの岩山のわずかに生えている植物から氣が吸収できるようになったらそのまままたその植物に還元するというのをただただ繰り返せ。
造作もなくできるようになってきたら、今度はこの岩山の本体、密度の高いこの岩からも氣を吸収できるようになり、ひいては自分の力とうまく融合させられるかという事を第一段階の目的としよう。
コイルは嬉しくてしょうがなかった。
自分は期待されていたのに期待に応えられる事は今までなかった。
今回の蛮死K率いるバッドテリアの討伐の時、初めて応えられるかと思ったが蛮死Kの強さにただただ自分の無力さを知った。
しかし今こうやって自分の原因や弱点を金剛太夫が見つけ、その対策まで授けてくれている。
まるで自分がおとぎ話の登場人物になったかのような気がした。
ボキは必ず強くなる・・・・なってやるんだ
あ、あとな、あの蛮死Kはな途中力を解放したやろ。
あれはあの大地が豊富な氣であふれてたからうまく吸収して自分に還元したんや。
悪玉鬼の力も天玉人の力も力のループはほぼ同じ構造やからな。
これができるということはもう超的存在やな。
ただの悪玉鬼にはできない。
そうだったのか・・・あいつ汚いやつだ!!!
全然汚くないぞ
闘う時、相手が尋常じゃないスピードと技と力を持っていたら汚いのか?
コイルは悔しながらに首を振った。
そういう事や吸収と融合は戦う者にとって必要な技術なんや。
く!なんか悔しい!ボキもあの時吸収できてたらギッタンギタンにしてやった!
まぁやってみないとわからんな。
これからのお前の修行の成果次第や。
はい!!
コイルは霊峰の少し開けた広場に行き座禅を組んで修行を始めた。
自分の真の力と思いもしないものに出会う事になるとも知らずに。
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