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  • Writer's pictureゼンマイマン

14話  虫の居所

Updated: Sep 11, 2020

もうどれくらい眠っただろうか・・・・




私はただただ眠るだけの生命体



動いてもただ蠕動運動を繰り返すだけのちっぽけな生命体なのだ



もうどれくらいここにいるのだろうか

私は何のために生まれ生かされ過ごさねばならないのか・・・



この永遠の闇の中ただただ漂ってクラゲのように生きているのに何故だかこうやって考える知能はある。



何のためにこの知能は必要なのだろうか



ただ生きて漂うだけの躰なのに、余計なことを考えるこの知能は必要なのか?



数千年に1度この感覚に襲われるのがストレスでしようがない。

何故無駄に生き永らえねばならないのかと


この知能さえなければ何もストレスも恐怖も感じる事なく漂えるのに



いくら動いても、あるのは永遠の闇



私はこの知能で一体何をすればいいのだろうか。



自害するにも命を絶つ術は残念ながら、この長細い手足もない柔らかい身体では持ち合わせていなさそうだ。



また数百年苦しみイライラし、疲れては眠りにつき、また数千年を繰り返す




ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ



ん?あっちの方から声が聞こえる・・・・

ややや聴覚はあるようだ

なんと・・・この永遠の闇の空間に一筋の光が見えるぞ

ほう視覚もあったのか・・・

そんなことより行ってみるか光の場所へ


外へ出れるのか・・・

外に出る事ができれば、死ぬことができるかもしれない。


そう思った細長い生命体は一生懸命蠕動運動を繰り返して光に近づいて行った。




近づくと光に淡く照らされたピンク色の肉のような壁が見えた。



この中から光が漏れているようだ



細長い生命体は、肉の壁を食い破りながら奥へ奥へ突き進んだ。



やっと・・・やっと外の世界に出られるのだ。



ようやく突き抜けた肉のような壁の先には人がいた。

男女の子供か?

少年の方が光の源で全身をエネルギーでみなぎらせている。





ししし死んだかと思ったんだもの!

いやなんであんた光り輝いてるんだもんの!





いよいよボキのフルパワーを発揮するんだ!!!うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!






うおぉぉぉ!!!じゃないんだもんの!

巨大な火の玉のエネルギーで確実に死んだと思ったら、全く訳の分かんないところに来てるんだもんの!ここはあの世だもんの?




場所なんてどうでもいい!!!

ボキのフルパワーをあいつにぶつけてやるぞ!!うおぉぉぉ!!!





だからうおぉぉ!!じゃないんだもんの!あいつ自体そもそも消えて、このべたべたの水まみれの部屋に突然いるんだもんの!





えええええ!!!!

あいつがいないって!!!

こここ困るよ!!ボキフルパワーが爆発しちゃうよ!






何も困る事ないんだもんの。

使う前でよかっただもんの。

早く収めなさいんだもんの。






いやいやいや!!!収められないよ!この力を解放したら死ぬまで止める事は出来ないんだ!!!







ええーー!!なんであの時いわなかっただもんの!!じゃじゃじゃあんた死ぬわけー!部屋の端っこ行って私に危害が無いように死になさいんだもんの!!






ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!









なんて美味しそうな光なんだ・・・・

この数千年、いや一万年か・・・

ただ漂うだけで一回も食欲というものが芽生えたこともなかった

しかし今初めてその食欲が芽生えたのだ・・・・いや待てよ何故私は食欲という概念を知っている。

なぜあれが人だと知っているのだ・・・

私は昔あの光・・・いやあの力と幾度となりぶつかりあってきた。

そうだ・・・

そうなんだ・・・

私は虫けらなんかじゃない・・・



私には名があった・・・・



そう我が名は・・・・・





















そう最強最悪の存在と謳われたアニサキスとは俺の事だ!!!




そうか・・・ここはあのカバ族の男の腹の中か・・・・



おのれ・・・俺を俺様をこんな姿にさせやがって!!!!!!

あんな未熟な二人をよこし俺にとどめを刺しに来たのか!!!!

舐められたもんだ!!!! むしろあいつらをこちらが喰らってやるわ!!


そう勝手に勘違いしたアニサキスは光り輝く少年に近づき、小さな小さな体で少年の身体に吸い付いた。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオッゴ!!!!!!!

なんというエネルギーだ・・・・

おおおおお俺がここここ壊れてしまう。

あれだけ死を願っていたのに、因果なもので力が戻りつつあるとわかれば未練もでてくるもんだ。

ここまで吸えば十分だ・・・・これ以上は死んでしまう!!!

はっ!この光で俺をおびき寄せ、俺が吸い付くのも計算だったのか!!!あのカバめ!!!!

このウザったらしいほど漏れ出てくるエネルギーの穴をふさいでくれるわ!!!!




又も勝手に勘違いしたアニサキスは自身の身体の一部を切り離し、その一部はまるで意思を持っているかのように動き出し、コイルから漏れ出る穴に螺旋のように入り込みふさいで同化した。

ふははははは!!!!一生その穴からお前のその強大な力が出せないようにしてやったわ!!!!ぶはははははは!!!ざまが良い!!!






うおぉぉぉぉ!!!!!









いやぁぁぁ!!!!部屋の端っこに行って死んでぇぇぇぇぇ!!!!!!









ひっでーーなお前!!!

ちょっとは助ける事考えろよ!!!








もうこれ以上この着物を汚さないでほしんだもんの!!!

あれ?あんたエネルギー収まってるんだもんの?







あれ?本当だ・・・なんでだ・・・あのエネルギーどこ行った???

え?なんで助かってる???






こっちが聞きたいんだもんの

あれ???壁動いてない???







あれ本当だ!動いてるというか押し寄せてきてる!うわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁl




きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!





突如まわりの壁がグニョグニョ動き、二人を包み込み高速でどこかへ運び出され勢いよく光の穴へと吹き飛ばされた。



ぶはぁぁぁぁ!!!外に出れたーーーー!!!!







着物が中の汚らしい壁でべとべとになってるだもんの!!!






誰が汚らしい壁じゃい!!わしの健康的でビューティーな内臓捕まえて!!






うわぁぁぁ!!芋虫がしゃべった!!!!








コイル!あんた肩に白い糸くずついてるんだもんの!

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ







ななななななんだよ!









糸くずつまみ取ったら、一瞬この糸くず動いたようなきがしたんだもんの。気持ち悪いから捨てて踏んずけてやったんだもんの








なんだよびっくりさせるなよ!











わしの体の中に入っとったからな。

いろんなもんがおんねん。

ぶははははは








ううう早く城に帰って湯浴みしたいんだもんの






おのれ・・・あの小娘・・・この俺様を踏んづけるとは・・・・・・・

しかし、これで外に出る事が出来た・・・・

必ずやお前らを刻み殺してやる・・・


このアニサキス様の手でな・・・・

あ・・・手がない・・・!!

なーーーんちゃって!!!まずは躰を元に戻す必要があるな。

ウハハハハハハハッハハハ!!!







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