アニサキスが蠱惑と呼ばれるものの元で完全に力を取り戻すよう努め年月が過ぎた。
その場所には禍々しい赤黒く脈打つ繭玉が転がっていた。
その繭玉がまるで叫び声を上げるがごとく「ギャァァァァァァァァァァ!!!!」と鳴ったかと思えば繭玉が裂け、赤黒い液体がマグマのように吹き出し中からアニサキスが出てきた。
そう元通りのアニサキスの姿になって
「・・・・・わしもまだまだ強くなれるのだな・・・・」
即座にアニサキスは後ろを振り返り膝をつき叫んだ
「蠱惑様!!!!!!!!このアニサキス必ずやこのご恩に報います!!!」
そういうとアニサキスは時空が歪むような悪玉力を全身から漲らせその空間を後にした。
そしてファベイトたちがいる場所へアニサキスは瞬時に到着した。
その姿をみたアルファベイトはただただ目を見張り硬直した。
「おお・・・ついに当時のパワーを取り戻されたのですね。」
苦裂のメンバー達もただただ驚き、自分たちが今まで悪玉鬼超的存在の中でもTOPと思っていたのがバカみたいだと思えるほどだった。
「いや当時より増しておる。蠱惑様にお願いすればな。」
「なんと・・・完全無欠ではございませんか」
このアニサキスを前にしてはファベイトですら虫けらのような力量さがある。
それをその子供達である苦裂は一目で理解した。
「ファベイトよ。体を一時的に借りたお前の子だがな。わしの力の増長量に耐え切れず干物になった。一応そのなれの果ては返しておくぞ」
そう言って腕の皮膚を引っぺがし地面に投げつけた。
「これがあの弾死なのか・・・こやつが力の増長だけで耐え切れなく死んでしまうとはどれだけのエネルギーが・・・」
「ぐはははは!!堪えきれるとおもっとったんだがな!そしたら一緒に強くなれたものを。お前の子は出来が悪いな。精進せい」
「ハハハー!」
ファベイトはひざまずいた。
「おーっと早速わしのちからを感じて虫けらが寄ってきおったわい。いいだろう少し肩慣らしも必要だからな。わしが直々に相手になってやろう」
そういうとアニサキスは悪玉鬼の要塞の天井を勢いよく破壊して外に飛び出した。
蛮死も伝説の悪鬼の戦いをこの目で見ようと慌ててついていった。
破壊された要塞は生き物のようにみるみる元の形に戻っていった。
「相変わらず建物が気持ち悪いな」
要塞上空に浮かぶ真王ガラク
その目の前にアニサキスが現れた。
「ほほう金剛太夫かと思ったらなんだ貴様は」
「アニサキス様!そやつはガラクという地玉人で今は天玉人となり我々の邪魔をしている天玉界の王です!」
後から追ってきた蛮死Kが叫んだ
「地玉人が天玉人に・・・?なんの間違いだ。しかもこいつ善玉の力であふれとるぞ。こいつが地玉人なのか??」
「寝すぎて耄碌したかじいさん」
ガラクはそういうとアニサキスを憐れむような顔でみた。
「むむむ!!!見た目はお前の方がじいさんだろうが!!!」
「アニサキス様ここは私がこいつを相手にしましょう!アニサキス様が肩慣らしでも物足りぬかと」
「そうだな。カエルの子よやってみろ」
「ははーー!!」
「蛮死K久しぶりじゃな」
「ふふふガラクよ・・・貴様に子供の頃から教育し悪玉の軍勢を与え様々な支援をしてやったのに戦に敗れしまいには天玉人になろうとはな。私もこの数百年笑ものだ。」
「お前には色々騙された。わしの特殊な力に目を付け両親や村のものまで手にかけそれを他の種族に罪をさすりつけ、わしはどんどん復讐の鬼へと変貌させた。」
「なんのことかな・・・まぁいいこれでようやくお前という失態の始末をつける事が出来る。全開放!!!!!!」
蛮死の身体か真っ青な炎の力が渦を巻き噴出した。
「邪魔じゃ蛮死」
ガラクがそうつぶやくとガラクの口ひげが高速で伸びまるで蛇のように喰らいつき全身を縛り付けひげから切り離されたその蛇のような物体は蛮死を縛り付けたまま勢いよく浮かんでいた蛮死を地面にたたきつけて拘束した。
「ほう・・・カエルの子といえ強いこやつを一瞬で拘束しかも全開放の状態で
貴様・・・まて・・どこかで見覚えが・・・・」
「そうか覚えててくれて光栄じゃ」
「グフフそうか・・・貴様真王か!!そのエネルギーどこかで感じた記憶があった。しかし新たな能力も手に入れたみたいだな・・・天玉人にそんな力が・・・わしはお前を見くびっていたようだ。だがな所詮この力の前ではまたわしを倒すことはできんだろう。そして今度は生き延びる事もそして停められるものもいない」
「あの時は確かに不甲斐なかった。しかし今回は違うぞ私が大人しくただ時を過ごしていたと思うか?さぁ来いアニサキス、お前をあの時止められず、多くの仲間や、戦から離れた親友の家族達を不幸にしてしまった償い今させてもらうぞ」
「わしとて同じことよ!!!この顔の傷忘れたか!!お前がつけたこの傷を・・・この傷は蠱惑様の力でも戻すことできない。許さんぞ絶対に許さんぞ!!!!」
「真王いつまでいちゃついてる。戦うのは俺だ。見ておれ」
ガラクは真王を制した。
しかしガラクは今までの自分をここで真王に見せたいという気持ちの方が強かった。
今まで狂った人生を誠の道に戻してくれた真王のせめてもの恩返しに
「ガラク、そうじゃったな。悪いなアニサキス懐かしい話は終わりじゃ。」
「そうか残念だ。もう少しお前ら同族を殺した話をしたかったがな」
アニサキスは一瞬のスキを突きガラクに攻撃した。
アニサキスは自分の動きに感嘆した。
なんという力と素早さ・・・さぁ遊びは終わりだとガラクを見て驚愕した。
アニサキスの攻撃をガラクは指1本で防いでいる。
「おい・・それが全力か?だったらがっかりだ」
「そんなわけがないであろう」
アニサキスはにやりと笑った。
「撫でてやろうと動いたらな・・・ぐはははははは!!!この力があればわしは無敵よ!!!」
ガラクとアニサキスの攻防が上空で繰り広げられた。
大気が揺れ、災害レベルの暴風と地鳴りが周りを包み込んだ
「真王よ!!!どうだ地玉人に乗り移り惨めに生き永らえてる気分は」
「ふははアニサキスよ私はこやつのきっかけにすぎぬ、またわしがガラクから死んで抜け落ちてもガラクの強さは変わらん。既に千年かけて鍛え伝承済みじゃ!」
「なんと・・・貴様は地玉人を天玉人に変えるだけではなくその力までも伝承できると・・・」
「この日の為にしっかりと準備済みじゃ!お前が復活するのは予想外だったがな!」
「わしは死なん無敵よ!でもその話は面白いな。お前のその力を我に吸収したらまた更に力を手に入れられるかもしらんな・・・」
「無駄よ。天玉と悪玉の親和なぞありえん。」
「やってみなければわからんぞ。まぁいいとりあえず片づけてお前を抜き取るとするか」
アニサキスの動きがまた一段と鋭さをまし、ガラクに迫る。
ガラクも顔色を変えずアニサキスに猛攻撃を加える。
「おのれ・・・・生意気な・・・本当にお前は地玉人なのか・・・その体の変異や特殊性・・・信じられん」
(真王・・・もう少しでアニサキスを倒せる。しかし力が拮抗しすぎて今一歩にかける。このままでは、勝敗を運を天に任せるしかない。)
(うむ・・・アニサキスがここまで凄い力を身に着けているとはな。当時の数倍はつよくなっとる。蠱惑が力を貸したようじゃ)
(俺たちが負けたらだれがこの化け物をとめられる?)
(金剛太夫くらいしかおらんのう)
(じゃ問うが、敵はアニサキスだけではない。苦裂やベイト、更には悪神王蠱惑も控えている・・・金剛太夫だけで方が付くとでも?)
(そもそも金剛太夫・・・いや阿暁は浮世離れしてるし気まぐれじゃ。アニサキスは殺すだろうが、全うしたら一切関与しなくなる可能性もあるな・・・うはは!)
(笑い事ではないだろ。てことは今この状況を運に任せるのは得策か?)
(ほかに策はないじゃろ?それともガラクよお前はもっているのか?)
(無いわけではない。そもそものわしの力を使えばいい)
(だめじゃ!だめじゃ!!折角歪みまくった黒い力を抑え込むことに成功しているのに、その力を使ってしまってはお前が現状に戻れる可能性はないし)
(なあに今の力があれば俺の本来のちからなんてたやすく抑えられる。それだけあんたが偉大だったという事も認めなければな)
(まぁあの全盛期のお前の力をもってしても今のお前の善玉力は月と鼈じゃがな・・・)
(じゃ決まりだな。これでバランスが崩せる)
(ちゃんと抑制しながらうまく使える自信はあるのか?)
(実はな夜な夜な稽古はしていた。なかなかヤンチャで俺自身も呻き叫んだりしながら修行に励んではいたが、別の神殿におった家臣やコイル達には聞かれて不気味がっていたな)
(わしを奥底に収めている間にそんなことをしておったか・・・お前もお前なりに最悪の事態に備えていたというわけか)
(どういうわけか千年以上言う事聞いてくれなかったのにここ最近扱えるようになってきてな)
(未来を考えて、白黒の面しかない賽を今はとてもじゃないが振れるわけがない。白の面積を増やせる方法なら、わかった。やってみろ)
ガラクの身体はしっかりとアニサキスの攻撃を防いでいるも全身がもうすでにボロボロになってきていた。
対するアニサキスもボロボロになっており、鬼の形相に変わっていた。
「次から次へと・・・わしをバカにするやつが現れやがって!!!!もう終わりにするぞ」
そういうとアニサキスは全身から一糸乱れぬ白線が飛び出しこう叫んだ
シュートテラノバーーー!!!!!!!!
アニサキスは実はまだまだ余力を残していた。
しかしアニサキスは全力で敵を倒す事すらプライドが許さない
そう金剛太夫と戦った時のように。
そんなプライドもあの時のように捨てて最終奥義を何度も何度も連発した!!!
強大な悪しき技が何度も何度もガラクを貫いていく。
「終わりだ!おわりだぁ!この技は1度喰らっただけでもあの男すら醜い姿になり数年は動けなかった。それを何度もくらいおってグハハハハハ!!」
「なんという恐ろしい技だ・・・伝説に聞く技・・・しかもあのレベルをあんなに何度も発動させ見事に命中させることができるのか・・・」
蛮死Kは震える自分の身体を片手で押さえるのが精いっぱいだった。
「アニサキス・・・もう終わりか?」
上空に浮かぶガラクから今まで感じたことのないオーラが纏われゆっくり顔を見下ろしてにやりと笑った。
「ば・・・・ばかな・・・・!!!!あの技を喰らって無事であるはずがない!!!あのカバ族の王も死にかけた技だぞ!!!」
ガラクの身体から寄生虫のようなものが何本も飛び出そうとしては引っ込みその虫は叫び声を上げていた。
「お前の技は暴れん坊だな。しかし俺の身体では全く効かない。なるほどなぁこれはいい素材だ・・・」
「おい!ガラク!素材ってなんだ!」
「ん?真王よ何の話だ今話したのはお前じゃないのか?」
「なんだなんだお前は・・・このアニサキスの技をくらい平気とは・・・地玉人なわけがない・・・まさかお前・・・?!」
ガラクは全身黒い闘氣を纏い、アニサキスに近づき何度も何度も顔面を殴った。
更には両足でアニサキスを手と同時に殴り蹴り始めた。
「ぐぎゃぐやぎゃがやぐygはyぎゃぎゃ」
アニサキスが叫びとも血飛沫の音ともとれる声で叫んだ
目の前で起こる光景は天玉神と悪玉神の戦いではなく悪玉神と何か別次元の異形の物の戦いにしか見えず蛮死は凍り付いていた。
「なんて力だ・・・あいつは地玉人ではないのか・・・俺があいつを見つけた時確かに地玉人だった・・・いや・・・?そうではない。確かに地玉人の両親に育てられてはいたが間違いなく地玉人の子供かどうかなんてわからんな・・・
とは言えもう悪玉界は蠱惑様が眠っているとはいえ終わったようなものだ。
あんな伝説の怪物をも撲殺しようとする化け物が相手では・・・」
「ぐはは・・・ぐじゃ・・・ぐは・・・どうしたまだわしは死なんぞ・・・死んでたまるか・・・」
そう言いながらもアニサキスは死を覚悟した。
でもなにか打開策はないのかアニサキスは薄れゆく意識の中で考えた。
そして捕まえた。
「カエルの子よ・・・後で褒めてやろう。この憎しきちから、悪玉との力のつながりが見えるぞ・・・」
「しまった!!昔蛮死に与えられた力が残りそれが見つかったか。クソ!完全に浄化できていなかったか」
「いったん引けガラク!やつはお前を取り込もうとしているぞ!わしがお前の身体から出て引き留める。」
「バカいえ!真王お前は俺から離れたら消滅するのだぞ!」
「致し方がない、本来は次世代の神に会いそのきっかけになりて真っ当したかったがな」
ガラクの王冠の赤い宝珠より真王の魂が抜けだし凄まじい力でアニサキスに攻撃した。
「ふはは・・・もう遅いわしの濃縮したこの力で貴様の身体を穢してやるわー!!!」
真王の攻撃虚しくアニサキスは毒々しい液体のような気をガラクの漏れ出る悪玉力と繋げ力を流し込んだ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ガラクは巨大になったり小さくなったり鳥になったりクマになったり象になったり魚になったり絶叫しながら数多の生き物の形になった。
奇しくも真王がガラクに親和した時のようにガラクも精一杯抵抗した。
禍々しい黒い邪気に包まれたガラクは真っ逆さまに地上へ落ちた。
ズドォォォォォン!!!!!!
「グハハハハハハハハ!!!!わしに取り込まれまいと自ら死を選んだか!ガラクというものよ!!!しかしお前を取り込めなくてもお前がいなくなれば事実上わしが天下無敵なのだ!!!!!!!!!!!」
アニサキスはまとわり付く真王の魂を手刀で打ち付け、真王もまた地上にたたきつけられた。
「己アニサキス・・・・ガラクよ・・・・もうこれまでか・・・」
真王は気力を振り絞り、自分の命に代えて力を分け与えようと息絶えそうになっているガラクの中に入った。
「己の中の悪威の事ばかり考え、外からの生粋の悪威に襲われるとはわ・・・」
「うはは!!真王ももうじき消滅するな、そんな蚊ほどの力を今更分け与えたところでなんになる。たわいもない・・・」
その瞬間アニサキスの背中に怖気が走った。
「何者だ・・・お前わ・・・」
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