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  • Writer's pictureゼンマイマン

New 11話 再びアニサキス

前回までのあらすじ


阿暁は見るも無残に畏敬の形に変えさせられたが辛うじて生き延びていた。

そして必ずやあの悪鬼を亡き者にすることを心に刻みカバ族聖地の洞窟に入る事十数年。


もはや死んだと思われた阿暁は、洞窟から間抜けな顔のカバのような生き物を携えて現れた。


畏敬に変化したはずの躰は以前のまま元通りに戻っていた。


面白いのが阿暁と思われる男は吽暁と名乗り

謎の生き物が阿暁と名乗ったのである。


彼らは金剛太夫と名乗り、アニサキスの禍々しいエネルギーに引き寄せられるように空の彼方へ消えていった。

のであ~る。




アニサキスと名も知らぬ謎の戦士との戦いから

十数年がたった。

アニサキスも武勲を上げ全指揮権を任せられるほどの地位にまで上り詰めていた。

豪鬼アニサキスも 蛔戎(かいじゅう)アニサキスと呼ばれるようになり、更に世を震え上がらせていた。


※実際の販売イメージと異なる場合がございます。





もはや敵なしと恐れられる存在で天玉界の武神をも数人葬ったほどだ。



アニサキスは焼け野原になった以前は善玉界の大森林だった場所を上空から見下ろしながらこう思った。

他の武神も姿を隠し、反撃の機会を狙っているようだが、もうそれも覆せないほどの力を手に入れた。



戦えば戦うほど我が身は強くなり虚しさすら覚えた。



ただ・・・あの時の戦いが忘れられない。

生きるか死ぬかのスレスレの戦い。


超必殺技を使って彼奴(きゃつ)を殺してしまったのが何よりもアニサキスを後悔させた。


いつもは絶大な力を見せつけ、最大の技で完膚なきまでに叩きのめす技

アニサキスにとって超必殺技とはただの魅せる演出でしかないのだ。


ところがアニサキスは心底恐れ、経験と知識と本能をフル動員させ最高のタイミングであの技を使い、倒してしまったのだ。

あの技が無かったらアニサキスは負けていた。

それを思い出すたびに癪にさわった。


もう一度勝負したい。

もし過去に戻れるような、時のねじ回しみたいなのがあればガリガリと回したいくらいだ。


あの時は青かった。鯖のように青かった。

だから自分を自制することができなかった。


今ならどんな感情も制御し、片腕でひねりつぶせるほど更に力が増した。






『あの部族・・・マバだかヤバだか』










『 カバ族だ 』






ゾクッッ!!!!



アニサキスが今まで感じたことのない悍(おぞ)ましい寒気が全身を支配した。



目の前には金色の衣を纏った得体のしれない獣を抱いた男が立っている。

アニサキスに気づかれないままこの距離に来られるなんてどう考えても只者ではない。















お・・・お前は・・・あの時の






1回しか会った事ないのに覚えてくれて義理堅いやつやな。









生きていたのか・・・・・あの技を受けて生きていたのか・・・







怖くてしょんべん漏らしてんちゃうか。










ん?なんだそのよくしゃべる豚は・・・食料か?







だだだだれが食料や!!










・・・阿暁、ここは私が













ぐぐ・・・











何故あの技を食らって無事なのだ・・・






無事ではない。

あなたが食料だと思っているのがあなたと戦ったカバ族だ








なに!!!!!この豚が!!!しかしここまで変化して意識をもって力を宿し生き永らえるなどありえない・・・

ではお前は誰なのだ!!!










そのカバ族の皮だ。










中身はちーと違うけどな。










どうなっているのだ・・だがまぁいい。うははは!よく生きていた!!今日は最高の日だ!

私の虫の居所が悪い原因を今日ここで改めて滅することができるのだ。

少々のことは不問としてやろう!

さぁ戦おうではないかあの時のように!


アニサキスは両手を広げておどけたように小首をかしげた。



少し感に触るやつだ。






せやねん

せやねんせやねんせやねん




俺も全力を出したい。近くの部下たちを我が母船サバに帰還させてもいいかね。

うっかり殺してしまうかもしれないのでな。ぶははははは!!






かまへんで。帰れる奴がおったらやけどな。ぶはははははは!!









部下どもの気配を感じない・・・ききき貴様どうやって










内緒だ。



そう言って吽形は人差し指を軽く曲げるジェスチャーをした。









わしほんま殺生嫌いなんやで。










あの1万の軍を一瞬で殺したのか・・・









吽暁はそれに返事はせず、ただただ指をくいっくいと真顔で動かつづけた。









己ぇぇぇ!!死ね!!!!










アニサキスは時空が曲がりそうなほどの力を解放し金剛太夫に切りかかった。









オートモードや

吽暁かましたってくれ。

どこまでお互いに強くなったんかじっくり確認してみたいんや。








承知だ。




吽暁が人差し指でアニサキスの鋭い太刀を全て受け止めて弾いた。

弾くたびにドガァァァンドガァッァァン!と大地が震える音が響いた。









俺は夢でも見ているのか!!!【悪玉鬼最強の鬼】アニサキス様だぞ!!!歴史上類まれな力をもって生まれた者なのだぞ!!!

こんな指一本で・・・我が剣青魚煮喰胃九十九(アオザカナニクイツクモ)が弾かれるわけがないだろ!!!


ドガァンドガァンドガァン!!!!と大地をふるえる衝突音がこだまする。









見えないのか?弾かれているぞ。







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